メンタルヘルス後進国、日本 ③アメリカと日本の違い

 

前回の記事では、特に日本人がうつ病を発症しやすい背景についてお話ししました。

しかしうつ病は世界的な問題です。

実際にアメリカ合衆国では、人口の平均8~10%がうつ病を発症しているので、人口比では日本と同程度です。

ただ、メンタルヘルスへの意識についていえば、やはりアメリカのほうが高く、日本はその認識が低いのは否めません。

 

ここに、アメリカで働く人がうつ病になった時の、診断から休職、復職までの経緯を調べた有意義な調書があります。*引用元はこちら

 

<アメリカの場合>

・事業所から独立した専門医が診断し、第三者機関と連携するシステム

・第三者機関(専門医、保険会社)が会社と連絡を取ってくれる

・自分で会社と交渉する必要がなく、すぐに治療プログラムに専念できる

・診断名や病状を会社の人事部や職場の上司が知ることはない

・比較的軽度の状態で治療することが多く、復帰が早い

・初期段階での集中的なカウンセリングによる回復

 

 

<日本の場合>

・事業所内の産業医や保健師が深く関わる

・専門医からの診断書を基に自分で会社に報告

・自分で会社と復帰時期や移動希望などの交渉をする必要がある

・人事部、上司や同僚が診断名や病状を知ることも多い

・重症化してから治療を開始する場合が多く、復帰まで時間がかかる

・薬物療法が主体

 

 

アメリカではカウンセラーがとても身近な存在で、少し落ち込む程度でも、より良い精神状態を保つためにカウンセラーに会うことも一般的です。

ですので、病状が悪化する前にカウンセラーが異変を見つけ、症状が軽い段階で治療を始めることができるので、改善が早く、時間もかからないということです。

アメリカでは州によりますが、通常、休職期間は最大2か月です。そして復帰後もカウンセリングを最大1年ほど続けることもあります。

休職期間が延びれば伸びるほど職場復帰のハードルが上がり、そのまま職場離脱が起きる可能性も高くなります。

 

 

日本では精神症状が出た時に、初期段階でカウンセリングを受けること自体がまだまだ少ないのが現状です。これは、「初期段階」を「危険な兆候」として捉えられていないことが原因でもあります。

そして重症化するとカウンセリングの力だけでは回復が難しくなり、薬物療法に頼るほかないというのも日本の現状です。

また、会社員の場合は会社に休職の話を自分で交渉しなければいけないというのも、受診を遅らせる隠れた原因のひとつでもあると思います。

 

アメリカでは、異変を感じたら初期段階で受診する、診断されたら本人はすぐに治療に専念し、早期復帰を目指したプログラムを受けることができる。

会社との面倒な交渉はすべて第三者機関が専門医と連携してやってくれる。

つまり、一人の人間のメンタルヘルスに関して、多くの人が関わり、プライバシーが守られ、早期に解決できるのが大きな特徴です。

これは精神状態が不安定ということに対する危機感が非常に高い証拠とも言えます。

 

さて、今日はアメリカと日本の会社のメンタルヘルスに対する意識を比較してみました。

次回は総括にしたいと思います。

 

 

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