メンタルヘルス後進国、日本 ②うつになりやすい日本人

 

前回の記事では、欧米人と日本人ではメンタルウェルネスに対する認識が違うという話でした。

WHO(世界保健機関)によると、世界のうつ病患者は3億人を超え、年間80万人が自殺しているとされ、これは日本人だけがうつ病になりやすいということではありません。

しかし「日本人だからこそ」という見方もあります。今回は少し、日本人のうつ病について考察します。

 

体質的な要素でいえば、セロトニンを生産する遺伝子というものがありますが、日本人の約68.2%がセロトニンを一番作りにくい「SS型遺伝子」を持つといわれ、これは世界の人種でもトップクラスです。

「SS型遺伝子」はアメリカ人では18.8%ですので、日本人がいかにセロトニンを作りにくい体質=不安を引き起こしやすい体質を持っているかがわかります。

他にも「SL型遺伝子」や「LL型遺伝子」があり、これらはセロトニンをたくさん作れる、不安になりにくい体質ということになります。(アフリカ系、アメリカ系に多いです)

つまり体質的に日本人はどの人種よりも不安を引き起こしやすい、うつ病になりやすい体質を先天的に持っているということです。(だからセロトニン対策がすごく重要!)

 

 

次に、日本人の文化的な背景としては「集団圧力」があるのではないでしょうか。

アメリカなど、欧米諸国が「社会」より「個」を尊重するのに対し、日本人は「個」よりも「社会」、「社会的な協調」を優先する傾向にあります。

これは、一人だけ違うことよりも、周りと協調することを良しとする社会でもあると思います。

このような社会で生きていると、本当は違う主張がしたい、違う生き方をしたい、違う表現をしたいと思っても、それが社会との協調、つまり「みんな同じ」と違うなら、自分の思いを抑圧して生きなければなりません。

これが大きなストレスとなり、また長く持続することでうつ病を発症してしまうことも、今の日本にはとても多いのではないでしょうか。

 

 

「みんな違っていい」

そんな言葉も最近では良く耳にしますし、そのような生き方を受け入れる人も増えていると思います。

しかし、それが本当の意味で日本社会の土台に浸透するまでは、まだまだ時間がかかるのかもしれません。

特にアメリカやヨーロッパは、古くから移民が流入し、長い歴史の中で、違う人種、異なる文化が共存しているので、「みんな違う」が当たり前の社会通念となっています。

だからこそ「自分はこうだ!」と「個」を主張しなければ生きていけないのかもしれませんね。

 

さて、ここからが問題です。

日本人は、体質的、社会的背景からも、「うつ」になりやすい傾向にはありますが、それでもこれは世界中で起きている問題です。

しかしその問題に対して、どんな意識があるか、どう取り組んでいるか、どう対応しているか、ここに日本と欧米との間に大きな違いがあるのではないか、と思います。

 

さて、また長くなりそうですので次回に...