メンタルヘルス後進国、日本 ①早期発見できない国

 

日本人のメンタルウェルネスに対する意識の低さ。

これは私自身かなり以前から感じていることですし、最近では各所で指摘されている事でもあります。

まだまだ「心を鍛えれば治る」などの認識もなくならず、「心の病気ではない」と頭では理解しているつもりでも、「心の病気」だという認識が消えないのが現実です。

 

さて、PMDDカウンセラーである私は、外国に住む日本人女性のカウンセリングをすることがあります。

これまでオンラインや現地対面を含め、カナダ、アメリカ、イギリスなど、諸外国在住で、外国人パートナーを持つ日本人女性のカウンセリングもしてきました。

その中で私が感じること、それは外国人パートナーのメンタルヘルスへの意識と理解がとても高いことです。

女性パートナーのメンタルがPMSやPMDDでヤバいことになってるということが、「他人事」ではなく、「自分事」として認識していることも、日本とは少し違うところです。

つまり、「彼女に治ってもらう」のではなく、「どうしたら一緒に治せるか」と、積極的に治療に関わろうとする意識があり、自分のパートナーの精神状態が不安定であることに対して、とても危機感を持って対応しているのです。

 

 

さて日本人ですが、カウンセリングの中で、配偶者の理解が得られない、積極的に関わろうとしてくれない、などの言葉をよく聞きます。

これはまだまだ「生理は女性だけの問題」という認識がとても根深いという意味ではないかと思います。

 

また、「それぐらい誰でもあるよ」「気にしすぎだよ」というように、本人の深刻さのレベルをなかなかわかってもらえないということもよくあります。

これは、「深刻さのレベルを理解しない」というよりも、「深刻な状態だと考えるレベルが違う」と言った方が適切かもしれません。

つまり日本人の「まだその程度なら大丈夫」のレベルは、外国人の感覚からすれば「それヤバいんじゃない?」というレベルなのです。

しかしこれは、パートナーだけの話ではありません。

当事者も、自分の精神状態が健全ではないことに危機感を抱くまでに時間がかかり、その結果、症状の悪化や改善の遅れにつながってしまうのです。

 

どんな病気も同じですが、うつ病やPMDDをはじめとする精神疾患も、気づくのが早いほど、治療が早いほど、回復は早いものです。

つまり、早期発見、早期治療がとても大事。

しかし、お腹が痛くてたまらない状態が1週間続くと病気を疑いますが、気分の落ち込みが1年続いても、病気だと疑わない場合が多いのです。

 

早期発見、早期治療ができたなら、早期回復が期待できます。

ここでいう回復とは、肉体的な回復、精神的な回復だけではなく、社会的な回復も含みます。

体が元気で、心も健全で、家族や社会の一員として社会復帰できる、人間関係を築くことができる、そしてまた自分らしく生きていける、これが社会的な回復です。

 

でも現実は、自分でうすうす気づいていたヤバさから、かなり時間が経ってから(悪化してから)治療をはじめたり、休んだりするのです。

もしかしたらそこには、「そんなにひどくないのに休んじゃって、ケロッと治りましたって言うのは申し訳ない」とか、「それくらいで治るなら病気じゃないんじゃないの?」という気持ちが働いているのかもしれません。

 

もちろん、外国人だから、日本人だから、という区別だけで100%判断できるものではありませんし、そこには異論もあるかとは思います。

しかし私は日本人であり、日本でPMDDを発症し、その後カナダやアメリカで治療法を探す中、多くの人と関わってきました。

そしてそこで欧米諸国と日本におけるメンタルウェルネスに対する認識の違いを目の当たりにしてきました。

そこには、文化的な違い、社会構造の違い、人間関係の違いなど、欧米とは違う日本独特の風習から生まれるものがあるのです。

 

さて、長くなりそうなので、また次回に。