起立性調節障害とPMDD③ ~心に残す影響~

 

前回の記事は起立性調節障害とPMDDの関係を書きました。

 

生まれつき自律神経バランスを調整しにくい体質がある

(本態性自律神経失調症の傾向)

その先天的体質を持つ女性は思春期で起立性調節障害(OD)を起こしやすい

さらに将来的にPMDD(月経前不快気分障害)を起こしやすい

 

これは私がカウンセリングの中で、過去から現在までの症状をヒアリングをする中で見出してきたものなので、学術的に証明されているわけではありません。

ただ、ODにもPMDDにも自律神経の働きが深く関わるという共通点があるため、活用できる考察ではないかと思っています。

 

この考察から言えることは、

① 体質に気づくこと 

② 自律神経を整えるよう生活習慣を見直す 

この2つが解決、改善の重要なポイントになるということです。

 

ただ、「体質に気づくこと」が実はとても難しいのです。

疲れやすい、朝起きづらい、立ちくらみがある、などは、日常の中で誰しもが経験することで、それ自体を特別なことだとは思わないからです。

そしてそれが継続することで(ここが問題なのですが)、怠けている、やる気がない、弱い、などというレッテルを貼られがちになってしまうのです。

 

 

実は起立性調節障害の一番の問題はここだと私は思っています。

体質からくる体の不調が、本人の努力不足、精神的弱さと捉えられる。

思春期に植え付けられたこの意識は、人生に大きな黒い影を作ってしまうことになりかねません。

起立性調節障害が原因で不登校になり、そのままひきこもりになるケースも少なくないのです。

 

自分は努力できない人間だ、自分は弱い人間だ、自分は怠けものだ

そんな植え付けられた自分への価値観は、成人してからも時々に「自己否定」「自己嫌悪」として顔を出し、自信を削いでしまいます。

女性の場合はそれがPMDDの精神症状に起因する場合もあるのです。

 

生まれた時からみんなが同じではない。

でも様々な社会的バイアスによって、「みんな同じであるはず」「みんな同じであるべき」「みんな同じほうが良い」といった価値観によって、個人が歪められていることも大いにあると思います。

それは性格的、性的、外見の個性だけではなく、体質の個性もあるということです。

 

そんな私も生まれつき自律神経の調整がむずかしい体質で、子供の頃はよく本態性自律神経失調症を起こしていました。

今でも体温調整が難しく、夏は外気が熱いと微熱が出て、冬寒いところでは身体が固まって何もできません。

低血圧で朝は弱く、睡眠不足ですぐに体調を崩してしまいます。

 

 

実はこの体質に気づいたのは、まだ最近です。

でも気づいてから、多くの謎が解けました。

なぜ幼少期からしんどかったのか、思春期の謎の頭痛、気分がすぐれず不登校になったこと、雨のプールの授業で一人だけ唇を真っ青にしてぶるぶる震えていたこと...。

私も「なぜ私は弱いんだろう」「なんて根気がないんだ」と、自分を責めてきた時間は長かったし、周りにもそう思われていたと思います。

だからこそ、元気な時は頑張りすぎるし、またその反動ですごく疲れる、とてもシンドイ小学生、中学生時代を過ごしていました。

そしてその後、20代でPMDDを発症したのです。

 

もちろん私のケースは一例です。

でも、もしかしたら、と思ったなら、一度自分の体調の歴史を振り返ってみましょう。

「そういえば、子どもの時から...!」 そう思った人は、今の不調の理由もわかるかもしれません。

まずはバイアスを外して、ジャッジなく、周りと比べることなく、自分の心と体をありのままに見つめて下さい。

それがいつしか、自分を許せる、自分を受容する一歩になるかもしれない。

 

生まれた時からみんな違う。

同じであることを目指す必要はないのです。(だって無理なんだもの)

 

 

 

<関連記事>

OD – 起立性調節障害とPMDD

そこに正解はない

 

<参考HP>

一般社団法人 小児心身医学会