「良い子」を終わらせる勇気

 

PMDDにおいて、幼少期の親との関係が、その後大人になってからの精神症状に影響することはよくみられます。

親との関係性は、「愛着の形成」がうまくいかない、愛着障害という形で現れることがあり、幼少期に十分に親との間で愛情の相互関係が築けなかった場合に現れます。

子どもは一人で生きていけないため、親に愛されないと命が脅かされるという本能的な部分で、常に親の愛を確認したいのです。

 

 

だから、愛されようと親の気に入ることをしたり、言ったり、また、本当に愛されているのか親を試す場合もあります。

つまり、子どもは必死で親の愛を求めているのです。

 

その時に身に付いた「処世術」のひとつが、「良い子」でいることです。

親に気に入られる「良い子」でいれば愛される、という体験を重ねていくうちに、いつしか親以外の誰かにもそう振る舞うようになり、常に人の顔色を伺ったり、人の意見に合わせたりする性格を形成していきます。

「良い子」でなければ愛されない、「良い子」でなければこの世の中を生きていけない、という感覚が残っているからです。

ただ、それは「本来の自分」ではなく、「演じている自分」なので、本当の自分との間にギャップが生まれ、そのつじつまを合わせるのが苦しくなってきます。

 

 

つじつまが合わなくなってきて、演じることに疲れてきたとき、それが激しい月経前症状として現れることは当たり前の現象です。

月経前の抗えないホルモンの大きなうねりが起きる時、「本当の自分」と「演じている自分」との間のギャップが大きければ大きいほど、コントロールできない症状となって現れます。

 

PMDDのカウンセリングの時、よく聞く言葉があります。

「どれが本当の自分かわからない」

「自分の本当の気持ちがわからない」

 

それは、いままで周りに合わせて「良い子」の役を長年演じてきたことにより、役柄のない本来の自分に戻る方法が分からないからです。

「本来の自分」に戻り、「本当の気持ち」を見つけるためには、まず「演じている自分」を自覚することからはじまります。

そして、なぜ、いつから、「良い子」を演じるようになったのか、自分のルーツを紐解いていく必要があります。

 

親から愛されるため、子どもは本能的に「良い子」を演じようとします。

でも、大人になった今は、「良い子」を演じる必要はないとわかっています。

もし今、あなたがまだ「良い子」を演じて苦しんでいるなら、それは長年の役が習慣になって染みついて、役を終わらせる方法がわからないだけ。

大人になった今、あなたは「良い子」を演じなくても、人から愛されること、人と深く関われること、そして自分のちからで生きていけることを理解しているはず。

 

必要なのは、役を終わらせる勇気です。

 

「良い子」の役を終わらせて、「本当の自分」で勝負していく勇気を持つことです。

その勇気があれば、きっと新しい人間関係がはじまり、新しい親との関係が築けるようになり、なにより自分らしく強く生きていくことができるはず。

 

役を演じてきたのもあなた、そして、役を終わらせるのもあなたなのです。

 

 

 

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