家族はモヤモヤの賜物
PMDDのカウンセリングにおいて、家族との関係は重要なトピックです。
なぜなら自分が生まれたときからはじまった人間関係が、その後の人生に大きな影響を残すからです。
カウンセリングをすればするほど、家族とはとても不思議な人間関係だと思えてきます。
あたりまえのようにそこにある人間関係が、まさか自分が死ぬほど苦しんでいる原因となっているなんて。
カウンセリング後、自分の置かれた家族関係、親子関係に何かしらの問題があるとわかってから、その関係性を見直し、自分の中で決着をつけて、すっきりと割り切ろうとする人もいます。
それはつまり、幼少期の自分の満たされずに置き去りにされてきた感情を受け入れ、家族との関係に自分の中で一つの区切りをつけようとする姿でもあります。
実は、それでも家族関係のモヤモヤしたものが、スッキリ晴れることは少ないのです。
すっきりさせたと思っている自分、割り切っていけると思っている自分、そんな自分でいようとすればするほど、また感情は満たされずに未消化のまま積もっていく。
そしてまたそんな自分に嫌気がさして、自分の幼さに腹が立ち、でもいつまでも変わらない、そしてわかってくれない親に絶望するのです。
私たちのこんなモヤモヤした家族への思い、親への思いはいつか晴れるときが来るのでしょうか。
残念ながら、私はそんなときは来ないと思っています。
というより、そんな心がすっきり晴れる時が来ると期待しないでいたほうが、楽なのではと思うのです。
なぜなら、家族というのはそれぞれがそれぞれに対する「期待」というものを少なからず持っています。
父親にはこうあってほしい、母親にはこうあってほしい、親とはこうあるべきだ。
また、子どもには、こんな子になってほしい、こんな子でいてほしいという、淡い期待。
それが例え、「この子に幸せになってほしいから、こう生きてほしい」といった、子の幸せを願っての期待だったとしても、です。
そう、その期待が「愛」だったとしても、です。
その期待をすべて自分の中から消し去ることができるかというと、なかなか難しい。
諦めてはいても、わかってはいても、長く心に住み着いた淡い期待はなかなかなくならない。
でも、「家族関係は完全にすっきりはしないもの」「モヤモヤはいつもどこかで顔を出すもの」そう割り切ってしまえば、不思議と心は軽くなる。
家族なんて、モヤモヤして当たり前。
その中でバランスを取りながら、ふわふわといろんな気持ちを行き来するのも悪くないのではないでしょうか。