内側からの欲求、外側からの要求
さて、人が「幸せ」を認識する基準は様々です。
下の図は、先日も少し別の話題で紹介した「マズローの5段階の欲求」です。
この図では、一つの欲求の段階が満たされたら、次のステップに移行するように見えます。
しかし現実は違いますね。
生理的欲求はもちろん、経済的安定、良好な人間関係、存在意義、目標達成というように、様々な段階の欲求が一度に訪れます。
そしてそれは、必ずしも自分の中で生まれる欲求ばかりではなく、世間や他人、誰かから求められる要求でもあります。
だから自分の中で起きる欲求と整合性が取れなくなり、ギャップが生まれしんどくなるのですね。
睡眠不足、栄養不足、疲れが残っている身体なのに、もっとお金を稼いで、社会的地位を獲得して、家族を増やして、豊かな生活を求められる。
父として、母として、娘、息子として、仲間の一人として、社会の一員として認めらなきゃ生きてる意味がない。
本来は自分の中で段階的に起きるはずの欲求、しかし外側からの圧力はすべてのレベルで一度に要求してくる。
そんな音もないプレッシャーを日々感じて生きているのが現実ではないでしょうか。
私たちには、自分の内側に存在する声があります。
その声は自分の欲求に忠実で、正確で、間違いのない真実であるはず。
しかし音もない外部からのプレッシャーが、雑音となってすべてをかき消してしまう。
その雑音は自分の中に生まれる本当の欲求をかき乱し、自分を支配して社会的に働かせるのです。
人間は社会的な生き物です。
人とコミュニケーションをとり、コミュニティの中で生きていく生き物。
しかし社会に支配される生き物ではない。
自分を動かせるのは社会ではなく、自分です。
そしてどう自分を動かすか、そのコントロール機能は自分の内側に聴こえる声。
内側の声は決して失われず、どんな人間にも必ず存在するものです。
もし聴こえないとしたら、自分を支配する外側からの雑音が大きすぎるか、もしくは長らく自分の内側の声を聴いていなかったから、わからなくなっているだけ。
人生がうまくいかないなら、立ち止まって、静寂に耳を澄ませよう。
外側の雑音に耳を閉じ、内側の音無き声を聴こう。
きっと、何かが変わるはず。
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