内観と、俯瞰と
PMSやPMDDの改善において、心理面へのアプローチはとても重要です。
その中でも私がとても重要だと思っているのが、「内観」と「俯瞰」の力です。
月経前症状において多くの場合、感情がコントロール不能に陥っています。
思考は入り乱れ、何が正しくて何が間違っていたのかわからない、自分を正当化しようとすると、今度は罪悪感が沸き上がる。
感情は暴走に暴走を重ね、もう自分では抑えようのない、機能不全の状態にまで加速してしまいます。
「内観」の力とは、なぜ今こうなっているのか、その痛みがどこから来ているのか、フラストレーションの原因は何なのか、それがいつから続いているのか、自分の内側に意識を引き込み、静かに見る力です。
それは例えば、自分が乗っている車がなぜこんなにも故障するのか、原因を探るようなもの。
タイヤはパンクしていないか、ミラーは見えているか、ライトは付くか、ガソリンは満タンか、左ハンドルか右ハンドルか、自分の乗る車(自分自身)の「いま、ある姿」を詳細に理解する力のことです。
そして、自分が今その車とともに、地図のどこにいるのか、これまでどんな道をたどってきたのか、これから行く道には何があるのか、そして単独事故なのか、ほかの車を巻き込んだ事故にあったのか、望遠鏡を使って「いま、自分を取り囲む風景」を捉える力が「俯瞰」の力です。
この「内観」と「俯瞰」の力は、放っておいて勝手に育つ力ではありません。
もちろん、どんな人間にもその力自体は生まれつき備わっています。
でもその力は、強化していかないと衰えます。
毎日見るSNS、誰かの言葉、インターネットの情報、テレビ、そしてまことしやかな世間の常識、ジャッジ、比較...
これらは毎日、毎秒、私たちの意識を外に外に向けさせます。
目も、耳も、思考も、感情も、自分の中から外にあふれて出て行ってしまいます。
本当に見なければいけないもの、聞かなければならない声、考えを馳せるべきもの、気持ちを向けるべきものが、それらすべて「外側」の引力に引っ張られて、「内側」は空っぽになってしまいます。
空っぽになった「内側」は内観する力も、俯瞰する力もなくなります。
そんな時、ホルモンの波が大きくうねるとどうなるでしょうか?
「外側」に乗っ取られた空っぽの状態では、自分をコントロールする術を失ってしまいます。
PMSやPMDDからリカバーするためには、「内観」と「俯瞰」の力を養うことです。
そしてその力は、決して自分を裏切ることはないのです。