PMDD「ネガティブループ」から抜け出せない理由
PMDDの心理的な観点には、3つのキーワードがあります。
それは、「思考のクセ」「植え付けられた価値観」「白黒ジャッジ」です。
PMDDの感情的なネガティブループから抜け出せないとき、この3つが鎖となって自分を苦しめている可能性があるのです。
私はカウンセリングにおいて、多くの場合に幼少期の記憶にさかのぼることがあります。
それはこの3つが、記憶も定かでない幼少期から自分の中に蓄積され、心の中に汚泥のように溜まり、今なお自分の中に影響を及ぼしているからです。
人は誰にでも、それぞれの考え方や価値観というものがありますが、それはいつから自分の考えとして、価値観として身についてきたのでしょう。
生まれたばかりの私たちは、自分の考え、価値観を持っていたでしょうか。
善悪の判断すらできなかったはずの私たちが、いつしか自分自身をも「良い自分」「悪い自分」と分断するようになってきました。
子どもの頃、保育園、幼稚園などで「赤信号は止まる、青信号はわたる」と教えられてきました。
小学校に入ると、「宿題をしないとだめ」「遅刻してはいけない」と、教えられてきました。
そのうち、「足が速いのが良い」「本をよく読むのが良い」「友達が多いほうが良い」「みんなと楽しくするのが良い」と教えられてきました。
そして、「いつも笑顔で元気なのが良い」「やる気があって頑張っているのが良い」と、いつしかそれが当たり前かのように私たちは生きてきました。
そして、そうではない自分、「みんなと仲良くできない自分」「独りでいる自分」「笑えなくて元気がない自分」「やる気がなくて頑張れない自分」を、いつしか罰するようになってきました。
頭では、そうじゃない自分でもいい、と、一生懸命考えるのだけど、やっぱりどこか心の隅に「罪悪感」や「自責の念」が生まれて、それをかき消そうとまた頭で考えるというループに入ってしまいます。
これが生理前になるとどうでしょう。
暴走してしまった感情は、そんな自分が許せなくて、見るのも嫌なくらい自分を嫌いになって、消えたくなって、死にたくなって、グサグサ心にナイフをぶっ刺して自分を傷つけていくのです。
私たちは頭の中ではわかってる。
「元気がなくてもいい」「できない自分がいてもいい」「笑顔になれなくてもいい」
そんな自分でもいい、たまにはそんなこともあるさ、と自分を許そうと頑張ります。
でも、毎回同じループにハマる。
また生理が来るたびに自分を責めて、嫌いになって、許せなくなってる。
頭ではわかっているのに、なぜできないのでしょう。
それは”頭で考える”というフィルターを通さないで、世間の価値観、社会の価値観、そして親の価値観が、知らない間に意識の中にダイレクトに入ってきているからです。
これが、知らない間に、子どもの頃から植え付けられてきた価値観です。
この「植え付けられてきた価値観」から「思考のクセ」が生まれ、その先に「白黒ジャッジ」に行きついてしまうわけです。
次回はこのループがなぜ自分を苦しめるのかをお話しします。